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『マイバケットリスト』#8

『世界の行ってみたい100サーフポイント』

” タバルア島 / フィジー “

ナンディの空港に向けて、飛行機が大きく旋回を始めると
本島の脇に浮かぶ小さな島が見えてくる。

真ん中のハート型の島が『タバルア島』、沖合で白く波が砕けている場所が『クラウドブレイク』

1980年代の初め、この島にサーフリゾートを創ろうとしたアメリカ人たちは、
この島の権利を持つ地元の部落の酋長と話をし、共同で波の権利を持つエクスクルーシブなサーフリゾートを開設した。

アメリカから多くの有名サーファーやカメラマン達が訪れると、一躍世界的に有名なサーフポイントとなり、
憧れの場所となった。

1990年代以降は1年先も予約が取れないと言われ、訪れたサーファーは必ず次回の予約をして帰国した。
毎年同じ時期に同じグループが滞在するので、新しく予約ができない状態が続いた。

世界サーフィンツアーが『クラウドブレイク』で開催されるようになると、波の質の良さ、島の雰囲気と地元の人の良さも伝わり、
参加する選手たちがツアーで最高の場所であること、戦いを忘れてリラックスもできると評判になった。

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『ブラ!(ハロー)』

フィジアンの明るい笑顔は、大きな声で挨拶されると、こちらも笑顔になってしまう不思議なパワーがある。

空港には、タバルア専属のタクシーとポーターが迎えに来ており、島の近くのハーバーまでサーフボードと一緒に運んでくれる
しばらくメインの道を走った後、そこから外れ、舗装されていない、曲がりくねった道を30分ほど走ると小さな船着き場に着く。

遠く沖会いにタバルア島が見える。
グループごとボートに乗り、岩礁の内側で波のない静かな海面をフルスピードで20分ほど走る。
そこから島へのアクセスができる岩礁の切れ目を、今度はゆっくりと進む。

スタッフのレディたちが手作りのレイをかけてくれ、
サーフボードは砂浜のボードラックに収納してくれる。

白い砂浜と輝く太陽、車やバイクの音がなく、波の音、鳥のさえずりだけが聞こえてくる。
今日から1週間のパラダイスと思っただけで幸せ感がある。

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『グッドモーニング。波はどうだい?』

朝まだ暗いうちから、クラウドブレイクを遠望できる櫓から望遠鏡でクラウドブレイクを見ていると。
同じグループのハワイアンが声をかけてきた。

『ヘッドハイ(身長くらい)はありそうですね』

『朝一で行くかい?』

『もちろん。一緒に行きましょう。』

朝は通常、風がなくコンディションが良いので、レストランのコーヒーとシリアルを食べてから、
バナナと水をデイパックに詰め込み急いでボート乗り場に向かう。

朝一番のクラウドブレイク行きのボートは、6:30きっかりに出発する。
人が少ない方が良いので、少しでも遅れると待ってはくれない。

クラウドブレイクが見えてくる、コンテストの時に使用したジャッジタワーの沖合でボートを停泊させる。

ボートマンからの緊急時のサインやポイントの説明を受け、

『イエ〜!ヒューイ!』
『レッツゴー』

ハワイアン達は奇声をあげて喜んで、次々と海へ飛び込んでいる。
最高の波を貸切の2時間。

気持ちはわかる。

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昨晩の嵐の後、朝からサイズアップして、ハワイアン達はみんなクラウドブレイクへ向かった。

何人かが、島のレストランの正面、通称『レストランツ』で波乗りしている、
クラウドブレイクが大きいと島の方にもうねりが入ってくる。

隣のナモツ島との間に大きなスエルが入ってくると、海峡を抜けたな波は弓状に広がりながら、本島方向へ向かう。

島の岩礁で崩れ始めた波は、岩礁に沿って綺麗に崩れていく。
前が広がっているので、前方が先に崩れることはない。

ポイントに着くと先に入っていた島のスタッフがそっと教えてくれる。

『レストランのバーカウンターの横に鏡があるだろ。あの正面がテイクオフポイントだよ。』

鏡が見えない場合は、奥に入りすぎてるらしい。

長く筋ばった、大きめの波が入ってきた。
鏡の場所を確かめて、パドルを開始し、テイクオフ。

ターンを繰り返すたびにスピードがついてくる。
波の上下を使いながら、波を乗り、振り返ると、150mほど乗っていたようだ。
大きなテーブル珊瑚の上を走りぬけると突然波は消えてなくなる。

息をしていなかったので、沖に向かながら、深呼吸を繰り返す。
確かに、最高の岩礁の形である。

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週に一度のカバセレモニーは、島のスタッフ、酋長、ボートマン、ゲスト全員参加の野外パーティ。

外部から来た客人をもてなし、客人は島に来れた感謝の気持ちを表す。

コショウ科の植物の根っこを臼ですりつぶし、布に包む、水を張ったボウルで布の中のエキスを絞り出す。
根っこなので、水は茶色に濁り、飲むとピリッと舌がしびれる感覚がある。
感覚が鈍って、メローな雰囲気になるのだろう。

酋長、島のスタッフの歓迎の挨拶、ゲスト代表者のお礼の挨拶の後、

満タンに満たされた椰子の実を割ったカップが、恭しく運ばれた。
一気に飲み干し、決まり言葉を発し、手を叩く。

『マザ!』

フィジアンは、男は力強く、陽気で、全員筋骨隆々のラグビー選手のようだ。
女性はポリネシアン特有のふっくらした、あんこ型お相撲取り体型で、優しく、子供の面倒見がとても良い。

パーティーの最後は男女フィジアンスタッフ全員の素晴らしいハーモニーで締めくくられる。

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朝から天候が不安定で、雨が降り出しそうだ。
ポイント櫓から波をチェックすると、いつも風の悪い島の反対側の波が綺麗だ。

スタッフにボートを出してもらえないかお願いすると。。

『はるばる日本から来たので、特別に出してあげよう』

『ビナカ!(ありがとう)』

なかなかクオリティの高い良い波だ。
テイクオフゾーンは3箇所くらいあり、それぞれレギュラー側へ岩礁に沿って崩れていく。
『タバルアライト』と呼ばれ、3箇所がつながると凄いことになりそうだ。

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レストランの前には、広いウッドデッキが広がり、隣のプールサイドでは、海を見ながらのハッピーアワーがスタートしている。
フリーのスナックがたくさん準備されているので、ビールを飲みすぎてしまう。

クラウドブレイク行きのボートは、午前2回、午後2回、それぞれ2時間ほどのサーフタイムである。
最後のボートが島に戻ってくる頃、夕日が沈むゴールデンタイムと重なる。

あたりが暗くなった頃、法螺貝の『プオー』が夕食タイムのお知らせだ。
各自テーブルに着き、毎回違うメンバーとディナーしながら、会話を交わす。

朝の波はどうだった、午後はこうだった、あそこの波が良かった。
サーフボードは何本持ってきた、長さはいくつだ、明日はどこが良い。

サーファーが交わす、とりとめのない会話が楽しい。
世界中どこでも同じことを話している。

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世界で最も成功したサーフリゾートと言われるタバルア島。
島は一周30分程度、波のない時はSUPで一周すると良いエクササイズになるだろう。

プロのサーフカメラマン、医者が常駐しており、テニスコート、アスレチックジムまである。

現在は、本島や別の島にステイして、アクセスすることも可能になったが、

いけるチャンスが来たら、ボーナス1回分を使ったとしても、ぜひ島のステイを訪れることをお勧めする。

朝の目覚めが鳥の鳴き声で、何とも爽やかな気分になる。
朝・昼・夜のご飯のバリエーションんが豊富で、1週間いても飽きない。
夜は、ゆっくり友とお酒を飲みながら、沢山話せる時間がある。

日本にいると実感できない、小さな島の朝、夕の静かな雰囲気、波のクオリティ、ゲストとの話、スタッフのホスピタリティ、
すべてが良い経験となり、今後のサーフライフを豊かにしてくれると思う。

  

ライター;南 夏海
大学在学中からサーフィン出版社に出入りし、
東南アジアサーフトリップ、創業。
映像、ライセンスビジネスなどの会社設立。
ブランドオーナー、サーフクルーズCO-OWNER。
早稲田大学卒。

 

》次号2019年7月はカリフォルニア・マリブ編《

 

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